AI記事で公式情報だけを参照させる方法|誤情報を減らす指示例
AI記事の参照先を公式情報に限定する指示例と、検索設定、引用確認、誤情報を減らすチェック方法を解説します。

AIに記事を書かせるとき、「公式情報だけを使ってください」と頼んだのに、個人ブログやまとめ記事が混ざったり、存在しない引用が示されたりすることがあります。丁寧に指示したつもりでも、どこまでを公式とみなすか、確認できない情報をどう扱うかが曖昧なら、AIは不足部分を補ってしまう可能性があります。
結論から言うと、検索できる機能を使い、参照を許可するサイトや資料を指定し、確認できない場合の回答まで決めることが重要です。「公式情報だけ」という一言を、情報源、基準日、引用、不明時の処理、最終確認という具体的な条件へ分解します。
この記事では、OpenAI、Google、NISTの公式資料を基に、AI記事の誤情報を減らすための考え方と、そのまま使える指示例を紹介します。特定のAIだけに依存しない方法を中心に、ChatGPTのDeep Researchで参照先を制限する場合も説明します。
「公式情報だけ」では足りない理由
生成AIは、もっともらしい文章を作れても、すべての事実を自動的に保証する仕組みではありません。NISTの生成AIリスク管理文書は、生成AIが誤った内容を自信ありげに示す現象を「confabulation」と説明し、架空の引用が含まれる可能性にも触れています。OpenAIも、ChatGPTが誤った事実、存在しない研究や引用、曖昧な質問への過度に断定的な回答を生成し得ると案内しています。
また、検索を使わない回答は、学習時に得た情報を基にします。最新の料金、仕様、制度、役職、提供地域などを書くなら、検索や提供資料を使って現在の情報へ接続する必要があります。
ただし、検索を有効にするだけでは参照先が公式サイトに限定されるとは限りません。検索結果には、報道、解説記事、転載、SNSなども含まれます。そこで、次の二つを分けて指示します。
- 情報の入口:どのサイト、ドメイン、添付資料を使用してよいか
- 回答の出口:各事実へ何を引用し、確認できない場合にどう答えるか
この二段階があると、AIの回答を人が確認するときも、見るべき範囲が明確になります。
まず「公式情報」の範囲を決める
「公式」という言葉の意味は、記事のテーマによって変わります。製品記事なら提供企業の公式ドキュメントやヘルプ、制度の記事なら政府や自治体の公表資料、研究の紹介なら論文原文や研究機関の発表が候補です。
参照先として指定しやすいものは次のとおりです。
- 政府、自治体、公的機関が公開した法令、統計、案内
- 製品やサービスの提供元によるドキュメント、ヘルプ、リリースノート
- 企業の公式発表や投資家向け資料
- 標準化団体が公開した規格や解説
- 査読済み論文の原文、研究機関が公開した一次資料
- 自分が添付した公式PDFや社内の承認済み資料
一方、検索結果の要約文、ニュース記事、個人ブログ、まとめサイト、SNS投稿は、内容が正しく見えても「公式情報だけ」という条件からは除外します。報道や解説が調査の手がかりになっても、記事へ採用する事実は元の公式資料まで戻って確認します。
複数の組織が関係するテーマでは、許可するドメインを最初に列挙すると再現しやすくなります。ドメインが分からない段階なら、AIに執筆させる前に「候補となる公式発行元だけを列挙してください」と頼み、人が確認してから参照範囲を固定します。
そのまま使える指示例
次の指示例では、角括弧の部分を記事に合わせて置き換えます。検索機能または指定資料を読める機能を有効にした状態で使ってください。
次の条件に従って、[テーマ]についての記事を作成してください。
1. 使用できる情報源は、[許可する公式ドメイン]と、私が提供した公式資料だけです。
2. ニュース記事、個人ブログ、まとめサイト、SNS、検索結果の要約は、事実の根拠に使用しないでください。
3. 情報は[YYYY年MM月DD日]時点で確認し、日付、数値、料金、製品名、役職、提供地域を公式資料の本文と照合してください。
4. 事実ごとに、その内容を直接確認できる公式資料を示してください。検索結果のページではなく、元の資料を引用してください。
5. 許可した情報源で確認できない内容は補完せず、「現時点で公式確認できる資料なし」と記載してください。
6. 推測が必要な場合は本文の事実と混ぜず、「推測:」と明示してください。
7. 執筆後に、すべての引用先を開き、発行元、公開日、引用内容との一致を再確認してください。
8. 条件を満たせない場合は記事を完成したように見せず、不足している資料を示してください。
短い記事でも、基準日と「確認できない場合」の規則は省かない方が安全です。AIに空欄を埋めさせない停止条件になるためです。
すでに資料が手元にある場合は、「外部検索を行わず、添付した3ファイルだけを使う」のようにさらに限定できます。ただし、添付資料が古ければ記事も古い情報に基づくため、資料の発行日と改訂日を先に確認してください。
ChatGPTのDeep Researchでサイトを限定する
ChatGPTのDeep Researchは、公開Web、アップロードしたファイル、利用可能な接続済みデータを使い、引用付きのレポートを作成する機能です。OpenAI公式ヘルプによると、調査を始める前に使用するサイトを管理できます。
ここで重要なのは、指定サイトの扱いに二つの選択肢があることです。
- 指定したサイトだけに制限する:入力したサイトやドメイン以外を調査対象にしない
- 指定サイトを優先する:指定先を重視するが、Web全体の検索も許可する
公式情報だけの記事を作る目的なら、前者の「指定したサイトだけに制限する」を選びます。後者は関連情報を広く探す調査には便利ですが、公式以外の情報が入る余地が残ります。
調査開始前に提示される計画では、対象サイト、調べる論点、基準日を確認します。完成後は、引用が付いていることだけで安心せず、そのリンクが指定した発行元のページか、主張を直接裏付けているかを確認してください。
他の生成AIやAPIでも、検索のグラウンディング、URL指定、ファイル検索、許可ドメインなどの機能があれば同じ考え方を適用できます。Googleの公式プロンプト設計資料も、最近または専門的な事実には検索によるグラウンディングを使い、目的や制約を明確に記述することを案内しています。
公式情報に限定するメリットと限界
公式情報へ参照先を絞ると、根拠の発行元が明確になり、架空の引用や伝言ゲームによる誤りを見つけやすくなります。確認するページ数も絞れるため、公開前のファクトチェックを手順化しやすいことも利点です。
一方で、公式情報だけなら必ず正しい、十分、最新というわけではありません。公式ページが更新途中だったり、複数のページで説明が食い違ったり、まだ発表されていない情報があったりします。企業の発表は、その企業自身の立場から書かれている点にも注意が必要です。
さらに、プロンプトはAIへ条件を伝える手段であり、完全な順守を保証する技術的な制限とは限りません。利用するサービスにサイト制限や許可ドメインの設定があるなら、文章による指示と機能上の制限を併用してください。
健康、法律、金融、安全に関わる内容では、公式資料を使った場合でも専門家や担当機関による確認が必要です。AIの記事は完成品ではなく、確認可能な下書きとして扱う方が安全です。
公開前に引用を人が確認する
引用リンクが表示されていても、それだけで記事の正確性は確定しません。OpenAI公式ヘルプも、重要な情報、引用、データ、技術情報はリンクを実際に開いて確認するよう案内しています。
公開前に、少なくとも次の項目を確認します。
- URLの発行元が、指定した政府機関、企業、研究機関などである
- 検索結果や転載ページではなく、元の公式資料が開く
- 公開日または更新日が記事の基準日に合っている
- ページ本文が、記事に書いた日付、数値、引用、結論を直接支えている
- 将来予定の機能を、すでに提供中の機能として書いていない
- 地域、料金プラン、対象者、前提条件を省略していない
- リンク切れや別ページへの不自然な転送がない
複数の公式ページで内容が食い違う場合は、勝手に一方を正しいと決めず、更新日と文書の役割を確認します。解消できなければ、相違があることを記事へ明記するか、該当箇所を公開しない判断が必要です。
まとめ
AI記事で公式情報だけを参照させるには、単に「公式情報を使う」と頼むのではなく、検索機能を有効にし、許可するドメインや資料、情報の基準日、引用方法、不明時の回答を具体的に指定します。利用できるなら、Deep Researchなどのサイト制限も併用してください。
最後は、発行元、公開日、本文との一致を人が確認します。今すぐできる最初の一歩は、いつもの指示へ「確認できない内容は補完しない」という一文を加え、公開前チェックを固定することです。
AIに詳しい人ほど長い指示を足しがちですが、誤情報を減らす鍵は、実は「どこで調査を止めるか」を先に決めることにあります。